上から見るとそこには地上の楽園が広がっている
- 天草松島の多島海景観(高舞登山駐車場から撮影)
- 上天草市松島町阿村
- 372 668 219*85
打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」という、90年代の終わりに岩井俊二監督がメガホンを取った傑作映画がある。
いわゆる「パラレルもの」で、打ち上げ花火を下で見るか、横で見るかでストーリーが分岐する映画で、繊細な画作りが素晴らしい映画だった。
時に視点を変えるだけで、見知った風景が激変することがある。
特に天草は、ドローンで「上から見るか?」と何度も私に葛藤を強いるような、素晴らしい上空からの風景を見せてくれた。
天草にかかる4つの橋を一望に収めるこのショットは、人間が大地に足を付けた状態では見ることが出来ない。
はるか遠くには雲仙普賢岳も見ることのできるこのポイントからダイナミックな風景を目にした時、天草の観光都市としての魅力を思い知った。
というのも、ドローンで撮影しつつ今まさに目の前に展開されている「横から見た」夕焼けも、息を飲むほどに美しい光景だったからだ。
まさに「上から見るか、横から見るか」、ここに来た人間はその煩悶を、歓喜とともに存分に味わうことができる。
でもご心配には及ばない。
結局のところ、どちらから見ても、天草の美しい海岸線は、夕焼けとともにあなたを魅了するだろう。
- 下田
- 天草市天草町下田北1213
- 474 615 358*01
夕焼けでつとに有名な天草の地だが、勿論それだけではない。大地を離れて、上から見てみると、なんとも独特の形があちこちに溢れている。
この灯台も、上から見た時に「なんてファインアートなんだ!」と驚くことになった。まるで図ったように「赤」と「青」と「白」が綺麗なコントラストを形成する。
そしてまるで、写真で撮るためにそこにあるような小さな岩が左下の方に!そこにあってくれて良かった、構図が活きる!
- 下田
- 天草市天草町下田北1213
- 474 615 358*01
ウキウキしながらドローン撮影を終えると、水平線の向こうに太陽が落ちる時間帯がやってきた。
先程抜けるような青空の下で綺麗なコントラストを見せていた灯台は、今度は逆光の夕暮れの見せる、影の濃さが美しい。
上から見ても美しいカーブだった防波堤を広角レンズで大胆に切り取ると、灯台の孤独な美しさが引き立つ。
- 天草三号橋
- 上天草市天草パールライン
- 372 695 837*80
美しく大きな橋を下から撮影した時、これは難しいと思った場所だ。ここはこの記事のメイン写真(天草松島の多島海景観)の中に写っている、天草五橋の一つ。
でも、あまりにも長い被写体のために、容易にはその全貌を撮らせてくれない。
まいったなと思った時、ふと、上から撮ってみようと思いついた。徐々に上がるドローンから見える巨大な「影」に興奮した。
人間の身長では見ることの出来ない、橋の持つ隠された形の全てが、美しいコバルトブルーの海にくっきりと写り込んでいる。
- 白岩崎
- 天草郡苓北町富岡
- 713 063 075*71
海からの恵みは、単に美しさと豊富な魚介類だけを生み出すわけではない。
独特の海洋成分が、土とまじりあって、あの白く美しい「天草陶石」が出来上がる。
日本の磁器は、この石で支えられている。地上から見ると、大きな岩に遮られて見えなかった全景が、上から見ると均されて、海岸線いっぱいに白いストライプを作っていることがわかる。
まるでそれは、海の青と大地の緑を切り分ける境界線のようだ。
こうして、天草を「上から」見ると、その魅力は一層際立つ。
ただ美しいのではなく、種々の色と形とがハーモニーを織りなす、まさに地上の楽園のような場所であることが分かるのだ。
そして幸運なことにその「楽園」は誰にでも開かれている。是非カメラを持って、多くの人に訪れてほしい。
上から見ても、横から見ても、あるいは下から、おそらくは水中から見てさえも、美しいことは確約されている。